ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

教えてタンポンユーザー

 月経と体調不良について書きます。血の気を失いやすい体質の方は、あらかじめ横になり、ゆっくりと息を吐き、薄目を開けてお読みください。

 教えてタンポンユーザー。本日、タンポン使用経験者におたずねしたいのは、ずばり「初回の使用で失神しかけたけれど、その後は問題なくタンポンを愛用しているよ! という人はいますか?」です。うーん、いないかも。このなかに、私の希望の星はいらっしゃいますか?

 こんな話をするのは、今朝、タンポンを使って失神しかけたためだ。重大な疾病や製品の欠陥、誤った使用法によるものではなく、たんに、私のやっかいな体質のせい。迷走神経反射を起こしやすい。

 採血や激しい腹痛、あるいは長い朝礼や満員電車が原因なら、迷走神経反射の経験者はめずらしくないかもしれないけれど、私はコンタクトレンズをはじめて装着した日も倒れた。そのくらい迷走神経反射を起こしやすいのだ。思いもよらないことがトリガーになる。

 疲労やストレスのほか、痛みや緊張も迷走神経反射の原因といわれる。でも、私は採血やコンタクトレンズの装着が「痛い」「こわい」と感じたことはないのだから、ふしぎだ。けろっとしていたくらいなのに。「なんともないな」の数分後に突如として起こるのが、私にとっての迷走神経反射だ。感情とは無関係に、期待を裏切って、失神のきざしがあらわれる。

 症例を書きとめておこう。まず、手足に力が入らなくなり、全身がだるく、重くなる。このへんで「あれっ? くるかも」と予感するものの、予兆に気づいたからといって悪化を避けられるわけではない。そのうち、雨音みたいな耳鳴りとともに耳が遠くなって、視界も暗くなる。吐き気がこみあげて、上体を起こしているのが困難になり、たまらず横になる。横になってしまえば安心だ。ものの数分で正常な五感を取り戻し、おびただしい汗をかいていることに気づく。横にならないで、無理に立ったり歩いたりしつづけると、意識を失う。こんな感じ。きょうまた体験したおかげで、描写がいやに詳細になったね。

 で、はじめて自力でタンポンを挿入して数十秒くらいで、これに襲われた。こわかった。聞こえない、見えない、気持ち悪くて座っていられない、ときたら、数分で回復するという確信があっても、こわくなるらしかった。原因と対処法(対処法といったって、その場で横になるしかないのだ。ちなみに治療法は存在しない)を知らなかったら、パニックに陥ったかもしれない。

 迷走神経反射と長年のつきあいになる私はそれなりに冷静で、「逆にひとり暮らしでよかったな」とか考えていた。尻まるだしで、足は便器の前に投げ出して、台所の床に頭と背中をべったりつけて深呼吸していたからね。その1時間後には出勤した。えらすぎる。

 いまは、すっかり元気。ただ、がっかりしている。選択肢がひとつ減ったことに対して。きょうから経血のにおいや下着の汚れ、肌のかゆみを気にせず過ごせるかも──そんな気持ちでタンポンを試したのに、まさか失神しかけて、ナプキンに逆戻りとは。

 そういえば、「婦人科系のイベントで迷走神経反射を起こしたよエピソード」がほかにもあった。子宮頚がん検診をはじめて受けたときだ。耳鳴りと吐き気がして、立ち上がるのが難しくなって、終わってから泣いた。なんか、痛いしわけわかんないし、とにかく気持ち悪くて。先生はあえて普段どおり話を続けてくれたし、看護師さんは優しいことばをかけてくれた。検診そのものがこわかったか、恥ずかしかったんだろうなと思われたに違いない。実際のところそうじゃないんだけど、自然な判断だよね。

 医師にも誤解される(「気持ち悪い」という訴えが、体調のことではなく、心理的なものと捉えられる)くらいだから、ほんとうにめずらしい体質なのかもしれない。こいつと一生つきあってゆくのか。ウケる。とんだわがままボディだよ。かわいいね。

 ちょっとは明るい話もある。コンタクトレンズと子宮頸がん検診については、2回目から体調を崩すことなく装着・受診できている。慣れるものらしい。(採血だってもう大丈夫なのかもしれないけれど、「いけるかも」みたいな気軽さで体質をわざと申告せずにいきなり倒れたら大迷惑だ。再挑戦の機会は永久に失われた。)

 よって、タンポンにも再挑戦の価値はあるわけです。でもやっぱり、しばらくはいいや。吐き気と手足の脱力感を昼すぎまで引きずったし、きょうとは別に病院で医療用のタンポンを入れてもらった日は、失神こそしなかったけれど、ずっと気分が悪かったし。あんまり体質に合わないのかも。合う合わないってたしかにあるし、とくに私のからだは、合わないものをとことん受けつけないっぽい。とんだわがままボディだよ。

 洗濯機に放りこむだけでお手入れが完了する吸水・防臭ショーツか、保険適用で出血が完全に止まる低用量ピルがあったらいいのにな、と夢見ている。そうもゆかないので、ままならぬからだの声を聞き、いろいろと試してみる途中にある。

 当記事がタンポンの使用を検討している人に恐怖をもたらしたとしたら、それについては申し訳ないが、しかしこわがる必要はない。変えられない体質について書いただけだから、読んでも、読まなくても、読者のからだにはなにも起こらないのだ。これは私的な記録にすぎないけれど、もし「さまざまな事情を抱えた人々があるのだな」とうなずいてもらえたのなら、知らなかったことを知る入口になりえたのなら、さいわいです。そして、月経とつきあいのあるすべての人が、自身にとって最善の対処法にめぐりあえることを願ってやまない。それって、かんたんなことじゃないよね。