ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

夏休みの計画

 今月の手取りも、日給に換算すると、個別指導塾のアルバイトより少ない。能力の低さに見合った報酬には違いないが、拘束時間をみるに不当だという感触もある。相変わらず、出勤前に固形物を飲みこめるほど体調のよい日はまれだし、バスに積載された頭は朦朧として、たえずまぶたを閉じにかかる。入社して三ヶ月が経とうとしているのに、しかも必ず定時に退社しているのに、情けなくなるほど疲れきっている。いよいよ私は、この典型的会社員の集団生活に慣れることはないと結論した。

 なんと言ってやめようか。気さくで親切な、私に興味をもち期待をかける、ふつうのいい人たちに。私が退職を願い出たら、会社の人々は驚くだろう。それ以外の知り合いはだれひとりとして驚かないだろう。就職活動をする前から「会社勤めに向いていない」と評されつづけていたのだから。とはいえ、ここまでとことん向かないとは、自身にも想定外だった。

 十日間の休暇を申請した。来月だ。少し早い夏休みである。とにかくひとりきりで出かけ、死んだように眠りこけ、毎朝の食事に半時間を費やしたい。そうして頭が冴えてきたら、会社をやめたあとのことを考える。みずからの生活を選びとるための余白の時間が、今年の夏休みなのだ。むずむずと恋しく待ち焦がれる。