「今度の研修で、大部屋に泊まることになったら、あるいは共同の浴室を使うことになったら、それから起床時刻が七時以前と定められたら、退職する」と、切実かつろくでもない冗談を飛ばしていたところ、それらの仮定はすべて実現し、私は宣言をただちに取り下げました。宿舎に入れられてから、体重は減り、斜視はいちじるしくなり(体調がすぐれないと一時的にそうなります)、顔は土色を帯び、このまま外貌まで宇宙人めいてゆくのかもしれません。
私的な情報を握らせることや、酔態を演じてみせることは、私からすれば親密さの表明とはまったくの別物ですが、そのように考えない人々は、コミュニケーションの手段として自己を暴露し、相手にも促します。ただし、話し好きは器用に同族を嗅ぎ分けるらしく、質問に答えるのを拒んだ夜からは、あたたかな無関心のなかで、気を失うみたいに眠ることができました。
集団生活に投げ込まれた私には、みずからの領分を侵させない自由こそあれ、外から流れこんでくる哄笑、氾濫する公然の秘密からは逃れようもありません。おしゃべりにけちをつける気はないのです。七人が押し込められたひと部屋の隅で、しめっぽい人間の臭気にとりまかれ、こうして声なきことばを分泌します。