ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

国に納めてください

会社を休む。なぜここで働くのかわからなくなるできごとが、またも降りかかった。欠勤という蠱惑的な選択肢は絶えず脳裏を遊泳しているものだ。今朝は、それをあえて振り払う動機が見当たらず、甘んじて手にかかった。なんとも快い。職場まで足を引きずるよ…

日記の才

ブログやTwitterをつづけることができるのは一種の才能だ。なにかしらテーマを設定しているならまだしも、たんなる日記やつぶやきをひたすらインターネットの濁流に放すという行為は、意義を見出さない人からすれば狂気の沙汰ではないか。もっとも、趣味とい…

人間観察

「人間観察が趣味」と話す美容師の施術を受けた妹が、その発言に「ドン引きした」といったような内容のメッセージを送ってきた日、私は奇妙な安堵を覚えた。ああ、人間観察は歓迎される趣味じゃないんだな。そう感じるのは私だけじゃないんだな。 妹が「人間…

母の教え

母と昼食をとった。店は私が選んだ。幼稚園児のころ、平日の昼間に何度も訪れたイタリア料理店。通院の帰りに立ち寄って、焼きたてのピザをほおばった記憶がある。病弱だった私に、母はいつもご褒美を用意してくれたのだ。「よくここでおさぼりをしたね」と…

雇用主であり上司ではない

代表取締役は雇用主であって上司ではない。少なくともこの会社では。 「頼んでいた仕事を直前になって断られ、ほかの従業員の目にもふれる場所で一方的に抗議された」とのことで、その仕事を引き受けるはずだった従業員に対して「こちらも思うところがある」…

曲がり角

先月、生まれてはじめて、顔にしみを見つけた。今月は、採血の結果、中性脂肪が基準値を上回っていると判明した。これまでどおり過ごしてきたのに、と首を傾げたのち、これまでどおり過ごしてきたからだ、とうなずく。きっとこれが、歳を重ねるということな…

こぼれたミルク

不随意にして不可逆であるという点において、誕生および生存は、前触れなく眼前に注がれた一杯のコーヒーに似ている。 私にはそれを注文した覚えがない。かといって、すでに供されたものを、あえて残したり捨てたりするのも本意ではない。他人に口をつけられ…

橋本愛が好きだ

(「どんな感じの男性が好きなんですか!」に対して)私が男性を好きとは限らないので質問の仕方を変えていった方がいいかなと思いました!どんな人に恋愛感情を抱きますか?とかかなあ(質問の答えになってない) 橋本愛 Instagram(@ai__hashimoto)より 橋…

血液型性格判断

血液型性格判断とか男脳・女脳とかの本が本棚にある人とはともだちになれないってずっと言ってる。「ただの遊びじゃん」「趣味の違いくらいだれにだってあるでしょ」ってもうひとりのぼくに促されて、亀裂を埋めようと試みたこともあるけれど、不毛な努力だ…

脱ぐ

あっけなく痩せてゆく肉体が自身のものとはおもわれないということへの戸惑いを綴って、数ヶ月が過ぎた。その後まもなく体重の減少は止まった。人体のホメオスタシスには目をみはるものがある。 私はようやく、私のからだに実感をもちはじめることができた。…

COVID‑19

「よくなりますよ」と医師に言われた、との確認が取れたから、ようやく書く。両親が新型コロナウイルスに感染した。祖父母や猫をも含めて、実家に重症者は出なかった。ふたりは快方に向かっているとのことだ。インフルエンザ並の高熱を出したとはいえ、医学…

私と最愛の宇宙人とは、それぞれが別の場所で不可解や不愉快に遭遇した日、その旨を気軽に報告する。昨晩の電話では、おもに私が報告をする番で、「取引先の代表が、先輩に妻子がないことをわざわざ聞き出した上で『結婚しないなんてさびしいよ』『結婚をし…

二六にもなれば

ことし二六歳になるらしい。生まれてきてしまったこと、生きてゆかねばならぬことを、どうとらえてよいのかわからないまま、なんだかんだ、おおむねすこやかにながらえ、四半世紀を突破した。 いまのところは、歳を重ねるごとにいろいろのことがやり過ごしや…

二〇二一ログ

べつに夜型じゃなかったっぽい このごろラジオ体操の放送より早く目が覚める。実家では、正午まで寝ているのが標準だったのに。体質上どうしても起きられないわけじゃなかったのか。家の人たちが早寝早起きだから、自然とピークシフトを実践していただけかも…

ベースが弾きたい

ベースが弾きたい。でも、日商簿記検定試験を週末に控えているから弾かない。ひさしぶりの弦楽器をひっぱりだしたら、利き手にまめができちゃうもんね。 試験前の私をいらだたせるものは、いつだって試験勉強それ自体ではなく、したいこととしてはならないこ…

手取り16万日記

手取り16万円台・賞与なし・昇給の見込みなしのひとり暮らしをつづけた感想は「暮らしてゆくのに困ることはない。それ以上のなにものでもない。来週は心配ない。来月もなんとかなる。来年以降のことを考えると、不満と不安で胸がつぶれそうになる」ってとこ…

実家に帰らせていただきます

じゅうぶん人口に膾炙しやがて辞書に収録されるとしても、私自身がつかうことはないだろうと(現時点では)見ている表現がふたつある。「関係性」と「〜させていただく」だ。 「関係性」については、使用者のなかでは「関係」と明確に区別されており、意図を…

社内でいちばん歳は近いがいちばん社歴の長い先輩に、腹の内を五割強くらいぶちまけた。(弊社は「日本人の足を美しく見せる」靴をつくって売っている。) 自社ブランドの、私がやめるとしたら理由はこれってくらいきらいなところは、「日本人」を連呼するク…

アンフェアネス

二年あまりのあいだに三度の就職をし、ごくありふれた新卒なみに貧乏をしている私は、実家を出るまでお金に困ったことがない。首都圏の裕福な家庭に生まれ、自力で学費を払うことなく私立大学を出た。これは偶然だ。大いなる僥倖だ。 けれど、恥を忍んで書き…

下書き

歳下のアイドル 二〇代後半にさしかかり、歳下の俳優やアイドルを好くことが珍しくなくなった。歳下の成人がざらにいるようになったためだろう。私は歳下に魅力を感じないのではなく、過重な感情労働に従事する未成年を観賞したくないらしかった。「新人発掘…

語彙の簒奪

「親ガチャ」ということばが批判に晒されるのを見聞きする機会が増えた。その批判(あるいは擁護の声さえも)が誤った知識に基づいている場合というのも少なくない。すごくいやだ。 この語をとなえはじめたのは、親から深刻な虐待を受けた経験をもつ人々であ…

全然いいと思う

「子どもがほしくない」「同性が好き」「恋愛感情がない」エトセトラエトセトラに「全然いいと思う」って言うやつ、なんなん? ってだけの話をしよう。 「いるいる! なんなん?」とうなずいた読者にはなんの目新しさもないであろう記事です。でも、「言われ…

痩身

十年以上ぶりに体重が五〇キログラムを下回って、一ヶ月くらい経つ。痩身の同級生や妹に強烈な劣等感を抱えていた高校生の私が、どれほど望んでも得られなかったからだつきを、二五歳にして実現した。そして、そのわりには、なんの感慨もない。 ひとり暮らし…

教えてタンポンユーザー

月経と体調不良について書きます。血の気を失いやすい体質の方は、あらかじめ横になり、ゆっくりと息を吐き、薄目を開けてお読みください。 教えてタンポンユーザー。本日、タンポン使用経験者におたずねしたいのは、ずばり「初回の使用で失神しかけたけれど…

ツイッター休暇

ツイッター休暇を取得した。そのような制度は実在しないが、いずれ利用を再開するかもしれないという意図をこめて勝手に「休暇」と名づけている。ついでに過去の投稿を削除した。つねづね書いているとおり、私はつぶやきを保存の対象と見なしていない。それ…

卵を割った

二〇時すぎに横になり、こんな時間に目がさめてしまう。一時、ふだんなら、これから眠ろうというとき。眠りたいのに眠れないのは、寝つきのすこぶるよい私には珍しい非常事態だ。わけがわからないくらい疲れており、疲れているのに眠れないとはどういうわけ…

生活に飽きたら

生活に飽きた。はじめてのことだ。特定の趣味や仕事にではなく、なにか、うすぼんやりと、生活全般に飽きた。 適応障害の再来ではないだろう。ただちに取り除くべき、耐えがたい苦痛を味わっているわけではない。かつて陥った「なにもしたくない」も、食欲不…

絶対音感の功罪

私は絶対音感をもっており、ときにそのことで不便を強いられており、また絶対音感が過剰に称賛される風潮をつねづね疑問視している。という話をします。 ちょちょいと調べたところ、絶対音感というのは〈ある音を聞いたとき、その高さを、他の音との比較によ…

孤独がこわい

母の誕生日を祝いに、妹と実家に帰った。発案者はもちろん妹だ。母はたいへん喜んだ。母が嬉しがるので私も嬉しかった。猫はあいかわらず愛くるしく、二匹の仲は日増しに深まっていくようだった。一個の存在がゆるぎなくかわいいうえに、かわいいものとかわ…

きらい

「この人、私のこと好きじゃん」と、驚嘆させられる場面が少なくない。これは、私が魅力的な人格を備えているといううぬぼれの表明ではない。自己認識とのずれに驚く、という程度の意味だ。 たとえば、こちらの側では「あれほどの無礼を働いたのだから、もう…