ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

侮辱

友人たちから、痴漢に遭ったとか、アルバイト先の客につきまとわれたとかいった、性犯罪被害の経験を打ち明けられることがある。話し相手に私を選ぶのは、当人の受けた傷を背負ってみせたかのようにおおげさに嘆いたり憤ったり、あるいは、「あなたに魅力が…

取り立て屋へ

行きつけのカフェにて「価格改定のお知らせ」を見る。どうやらほんとうに消費税は上がるらしい。取り立てられたぶん、国民になにがもたらされるか。いかに還元されるか。そのあたりは不明瞭だが、ごく近い将来の増税だけは、確定した事実であるらしい。 老後…

なんでも

駆け出しながらチップチューンの名手である最愛の宇宙人に誘われ、都内のライブハウスを訪れた。大気をびりびりとふるわせ、腹のなかまで流れこんでくる音。刺激に立ちすくんだのははじめのうちだけで、いつしか私たちの胴やかかとは浮かれてちいさく踊って…

わからない

プログラミングの勉強がはかどらない。一段落してからこれを書こうかとも考えたが、たまりかねて、吐きだす。湧きあがることばたちを内にとどめたまま、新しい概念に接して、解きほぐしたうえで摂取するという大仕事にいそしめるほど、私は器用ではない。 私…

ITZY

九年前に発表された、当時(あるいはいまでも)日本一の知名度を誇っていたアイドルグループのミュージックビデオを、知人は「企画もののアダルトビデオのようだ」と評したことがある。視聴したところ、売り手のべとついた思惑を見るようで、いやな感じがし…

きれいな手

シルバーの映える、白くまっすぐな指をもつ友人と、たわむれに指輪を交換してみたところ、彼女の薬指に私のピンキーリングが嵌まった。私の手は、指の第二関節ばかりが肥大し、爪は横長といってよいほど短くつぶれ、筋肉質ながら手触りはぐにぐにとやわらか…

赤の食卓

保守論壇の月刊誌で埋め尽くされた書棚の鎮座するリビングにて夕食をとるとき、実家を出るべきだという考えは生理的欲求にも似てきて、単に生活の手段として就職を選んだのは不誠実きわまりない失策であったが、いちどはそうせざるをえなかったのだから、無…

なかま

もはや私は文学部生ではないのだから、娯楽としての読書にふたたび親しみ、個人的な体験や素朴な感想文をいたずらに書きつけてもよろしかろう。「コンビニ人間」を読み、思い出したことがある。私には「なかまはずれ」に苦しんだ経験というのはほとんどなく…