2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「交際相手に浮気をされた」という事実のみから、相手の申し開きに耳を貸すことなく「自身に魅力がないからだ」「相手に愛情がないからだ」などの因果関係を導き出す、といったような思考法の突飛さあるいは愚劣さについては、以前にも書きました。私はこの…
タルトタタンの並んだテーブル越しに、先生が「将来を、と、こころに決められた方が、もういらっしゃるのですか」といったようなことを、おそるおそるおたずねになったとき、先生と私の関係は、いま、不可逆性の変質を遂げた、とぼんやり思いました。こんな…
院には進まないということですけれど、今後とも書きつづけたいと考えているというのは、こちらとしても嬉しく、望んでいることでもあります、あなたはこれだけの卒業論文を書いたのだから、これは、と思うものがまた書けたなら、機関誌にも載せられるでしょ…
やわらかな物腰を崩さず、いかなるときも穏やかにふるまう人のなかには、他人への愛情が深いのではなく、むしろ、他人に興味も期待も抱かないからかき乱されることもありえないという種類の宇宙人があり、そのような人々を私は好み、遠い理想としてもいます。…
交際相手に浮気をさせないためには、浮気をしない相手と交際すること、これにつきます。ほかに手立てはありません。「真実の愛」やら「本能」やらを絡ませてこの問題を論じたてると、聴衆はおもしろいほど食いつくから、筋の込み入った神話はそこらじゅうに…
新春を、例年通り、けだるくもてあましています。こよなく愛する時季のあとにやってくるので、どうにも歓迎しかねるのです。年の瀬を待ち焦がれる嗜好の持ち主は、まっさらなカレンダーの一枚目に、気の遠くなるような失望を見出します。いま、すでに、最後…