一社目の「優良企業」をぬけだす以前のほうが、周囲のだれもが「やめていい」とうなずく環境に身を置く現在よりずっと頻繁に、「やめたい」とさんざん書き散らしていた。その理由はふたつほどある。 ひとつめは、「とりたてて瑕疵のないこの会社を早期に離れ…
デートの最中に、突如として吐き気を催したかと思えば、盛大にお腹を下した。ほどなくして回復し、最愛の宇宙人にいたわられたので、いつもどおり機嫌よく帰った。ひさしぶりのごちそうで、食べすぎちゃったな。そんなことばをこぼし、見送られた。週末の夜…
昼過ぎに早退する。在宅勤務の日だから、チャットにひとこと書き残してノートパソコンを閉じるだけだ。着替えて横になり、目がさめると妹はすでに寝ている。私は人が帰ってきた物音くらいでは起きない体質だ。だからといって、睡眠の質がつねに高いともかぎ…
最愛の宇宙人から、内定の報告を受けた。納得と満足と安堵に包まれながら、私は彼を電話越しにねぎらった。自己アピールどころか自己紹介さえしたがらないような人だから、はじめのうちは面接をおそれていたようだが、彼の場合、誇大広告に走る必要はなかっ…
松任谷由実の「中央フリーウェイ」が最愛の宇宙人は好きなのだそうで、それは「たのしくて、さびしいから」だと散歩の途中で教えてくれた。正月にしてはあたたかい夜だった。「翳りのあるごきげんナンバーだよね」とか言いながら私はうなずいた。(ところで…